日本駅巡り紀行

公開:2011年3月2日
最終更新:2011年10月6日

阪神電気鉄道

 [ 阪神電気鉄道 ] 本社:大阪府大阪市福島区

 阪神電気鉄道は大阪府、兵庫県に鉄道事業を展開する大手私鉄で、梅田〜元町間の本線、元町〜西代間の神戸高速線、尼崎〜大阪難波間の阪神なんば線、武庫川〜武庫川団地前間の武庫川線を保有しています。(うち一部は線路を直接持たない第2種鉄道事業区間)

 一番初めに開業したのは1905年の神戸(現在の三宮)〜大阪(のちの出入橋、梅田駅の西方にあった、現在廃止)で、日本で初めてといえる長距離のインターアーバン(都市間高速電車)でした。阪神電気軌道という開業当時の社名が物語っているように大阪と神戸という大阪湾沿いの2大都市を結ぶのを目的とした都市間鉄道で、許可を取りやすくするため軌道(路面電車)として開業しました。

 開業後しばらくは国鉄東海道本線から大量の乗客を奪っていましたが、1920年に阪神急行電鉄(現在の阪急神戸本線)が開業、このころから阪神は高頻度運転を進め、国鉄と阪急との三つ巴の乗客争奪戦に発展しました。当初は阪神阪急が運賃・運転頻度面から国鉄に大きく水をあけていましたが、国鉄の民営化の頃からJR/国鉄の新快速に速度で対抗するのは難しくなり、運賃や運転頻度面でもJR側の改良が進んだので、現在阪神は神戸高速線を介しての山陽電鉄との直通や2009年に開業した阪神なんば線への直通といった勢力圏の拡充に力を入れるようになっています。

 かなりの区間で高架化、地下化といった立体交差化が行われており、現在でも一部の区間で高架化事業が進められています。

本線

 本線は阪神電鉄の中核をなす路線で、梅田〜元町間を結んでいます。阪神間を結ぶ3路線の中では一番南側に位置していて、もともと軌道法で作られた路線であることもあり一番駅数も多くなっています。
 1905年の開業当初は神戸(三宮)から大阪(出入橋)を結んでいましたが、のちに神戸市街(三宮付近)を地下化、1936年には元町駅への延伸を行い阪急電鉄よりも神戸側ターミナルの優位性を確保することができました。また市電に乗り入れしようとしていた大阪側では市の反対により市電への乗り入れをあきらめ、地下のターミナルとして梅田駅を開業させました。
 1968年の神戸高速線、2009年の阪神なんば線の開業により大阪、神戸両地区のターミナルの拡充が行われ、近鉄、山陽への直通といった阪神間以外の利用客の開拓も行っています。

 駅数の多さや他の鉄道会社への直通といったこともあってか1つの路線としては多くの列車種別があり、直通特急(SL)(阪神)特急(HE)区間特急(ML平日朝ラッシュ時上りのみ運転)快速急行(RE)急行(EX)区間急行(ME平日朝ラッシュ時のみ運転)普通(L)が運転されています。このうち昼間運転されているのは直通特急、特急(両者合わせて10分毎、直通特急は〜山陽姫路、特急は〜山陽須磨浦公園)、急行(10分毎、2本に1本は〜西宮、残りは〜尼崎)、快速急行(20分毎、難波線方面〜三宮)、普通(10分に1本、〜高速神戸)で、優等列車の比率が高いです。

 かなりの区間の立体交差化が進んでおり、軌道出身の私鉄ながらも昔からの駅や踏切は少ないです。

乗換:JR東海道線・大阪環状線など(大阪駅)、市営地下鉄御堂筋線など(梅田駅(市営)、東梅田駅、西梅田駅)、阪急神戸本線など(梅田駅(阪急))
停車列車: L / ME / EX / RE / ML / HL / SL
乗換:JR大阪環状線など(福島駅(JR))、京阪中之島線(中之島駅)、JR東西線など(新福島駅)
停車列車: L / ME
乗換:JR東西線(海老江駅)、市営地下鉄千日前線(野田阪神駅)
停車列車: L / ME / EX
停車列車: L
停車列車: L
停車列車: L / ME
停車列車: L
連絡:阪神なんば線(大物〜尼崎間は2路線の重複区間)
停車列車: L※また、阪神なんば線REが一部停車
接続、直通:阪神なんば線
停車列車: L / ME / EX / RE / ML / HL / SL
停車列車: L
停車列車: L
接続:武庫川線
停車列車: L / ME / EX / RE
停車列車: L / ME
停車列車: L / ME(この駅まで) / EX / RE / ML / HL / SL
停車列車: L 
乗換:阪急今津線
停車列車: L / EX / RE
停車列車: L / EX(この駅まで) / RE / ML / HL / SL
停車列車: L / ML
停車列車: L / ML
停車列車: L / RE / ML / HL / SL
停車列車: L / ML
停車列車: L / ML(この駅まで、上りのみ)
乗換:六甲ライナー
停車列車: L / RE / HL / SL
停車列車: L
停車列車: L / HL / SL
停車列車: L
停車列車: L
停車列車: L
停車列車: L
停車列車: L
停車列車: L
乗換:JR東海道線(三ノ宮駅)、市営地下鉄山手線など(三宮駅(市営))、阪急神戸本線など(三宮駅(阪急))
停車列車: L / RE(この駅まで) / HL / SL
接続、直通:神戸高速線(第3種鉄道事業者は神戸高速鉄道、さらに山陽電鉄本線の山陽姫路駅まで直通)
乗換:JR東海道線(元町駅(JR))
停車列車: L / HL / SL

阪神なんば線

 阪神なんば線は阪神電気鉄道の保有する路線で、近畿日本鉄道(以下近鉄)難波線と接続する大阪難波駅から本線と接続する尼崎駅までを結んでいます。
 もともとは阪神がカーブの多い本線をバイパスする形で計画した第2阪神線(一部は本線の複々線化)の一部で、当初の計画では尼崎駅から伝法を経由し野田を通り梅田駅に至る計画でした。その後、計画が変更され伝法線として1924年に千鳥橋まで順次開業。1960年には西大阪線に改称され、難波への延伸を前提に西九条駅まで延伸しました。それからは西大阪線特急という三宮/元町発の特急が運転されたりもしたものの利用客は少なく、阪神電鉄の1支線として推移していました。

 しかし、その後2009年に1960年代から企画されていた難波への延伸事業が完成、阪神電鉄の都心側の第2の動脈となるとともに、阪神電鉄沿線から難波、近鉄方面へ直通で抜ける貴重なルートの一部となりました。この路線の開業に伴い、阪神と近鉄は全国でも珍しく全く違った車両規格での乗り入れを、しかも全国で唯一大手私鉄同士の直接の接続で行っています。

 列車種別は普通(L)のほか近鉄奈良線から尼崎駅まで直通する区間準急(SSE)準急(SE)、そして近鉄奈良線から三宮まで直通する快速急行(RE)が運転されます。快速急行のみ線内に通過駅がありますが、平日昼間時には快速急行も含め全列車が各駅に停車します。

 尼崎から西九条までの各駅は昔からあった路線なので昔からの私鉄らしい雰囲気が漂いますが、西九条から大阪難波までの区間はまるで地下鉄の様で、しかも駅出入口などの雰囲気も洗練されているので雰囲気が大きく異なります。また、近鉄側から8両・10両編成で直通してきた列車は尼崎まで連結解放を行えないので、当線内の駅ホームは10両編成に対応しています。

接続、直通:近鉄難波線(大阪線を経由し奈良線の近鉄奈良駅まで直通)
乗換:南海電鉄南海線(難波駅(南海))、市営地下鉄御堂筋線など(難波駅(市営))、市営地下鉄堺筋線(日本橋駅)、JR関西線(JR難波駅)
停車列車:L / SSE / SE / RE
乗換:市営地下鉄千日前線(桜川駅(市営))、南海高野(汐見橋)線(汐見橋駅)
停車列車:L / SSE / SE  /RE
乗換:市営地下鉄長堀鶴見緑地線(ドーム前千代崎駅)
停車列車:L / SSE / SE / RE
乗換:市営地下鉄中央線(九条駅(市営))
停車列車:L / SSE / SE / RE
乗換:JR大阪環状線(西九条駅(JR))
停車列車:L / SSE / SE / RE
停車列車:L / SSE / SE / (RE)
停車列車:L / SSE / SE (RE)
停車列車:L / SSE / SE / (RE)
停車列車:L / SSE / SE / (RE)
乗換:阪神本線(大物〜尼崎間は2路線の重複区間)
停車列車:L / SSE / SE / (RE)
接続、直通:阪神本線(三宮駅まで)
停車列車:L / SSE(この駅まで) / SE(この駅まで) / RE

武庫川線

 武庫川線は阪神電鉄の路線で、武庫川〜武庫川団地前間を結ぶ阪神電鉄唯一の単線路線です。
 もともとは現在の武庫川団地付近にあった軍需工場への路線で、1943〜44年にかけて武庫大橋(現在廃止、武庫川駅の北側)から洲崎駅への路線が開業しました。当初は東海道線の貨物支線である国鉄西ノ宮(現:西宮)〜武庫大橋間の路線と接続していて、国鉄の貨物列車乗り入れのため全線が3線軌条化されていました。

 その後戦後に全線で旅客営業を廃止しましたが、その後武庫川〜洲崎間のみで旅客営業を再開し、武庫川団地の造成に伴って武庫川団地駅への延伸を行って現在に至ります。

 全列車が普通で、線内を往復する運転です。

接続:本線(正確には武庫川信号場という設備で合流)
 
 
終点駅

車両

阪神電鉄には数多くの種類の車両が在籍しています。登場の経緯などから少し複雑な車両もありますが、ここでは主に3つに分類して紹介します。

赤胴車
 赤胴車は急行、特急などの優等列車運用につく形式で、クリームと赤のツートーンカラーの塗色です。また、新しい形式や近頃リニューアルされた車両は白とオレンジという明るめのツートーンカラーに変更されています。ほとんどの形式は6両固定編成で本線に運用されますが、武庫川線用に改造された形式は2両編成のワンマン対応車で、同線内の普通列車にのみ使用されています。

2000系

8000系

9300系

7890・7990形・7861形

 旧型の赤胴車のうちでも新しい形式を改造したもので、現在は2編成のみ残っています。  同社の電車のイメージを一新した形式で、デザインはその後の各形式に引き継がれています。現在リニューアルが進行中です。  5500系に倣った新塗装の採用や阪神電鉄では初となる転換式クロスシートの導入など、赤胴車のイメージを大きく変えた形式です。  説明準備中

なんば線用
 阪神なんば線にはステンレスにオレンジ塗装の2形式が運用されています。1000系は阪神なんば線用に新製された形式で、それまでの赤胴車の常識を覆す奇抜な外観です。それに対して9000系は1996年、阪神淡路大震災で被災下赤胴車の復旧のため新製された形式で、稼働していた工場の都合から阪神初の本格的なステンレス車両となりました。現在は1000系の様な外観に変更され、阪神なんば線の運用に主についています。

1000系

9000系

 阪神なんば線開業に向けて新しく開発された形式で、オレンジをメインにした新塗装をまとっています。  阪神大震災の復旧に向けて新造された車両ですが、現在は阪神なんば線用に。登場時は今とは頃なる赤と黒の塗装でした。

青胴車
 青胴車は普通用の形式で、赤胴車に対してこちらは紺とクリームのツートーンカラーです。現在旧型の5000系は水色と白のツートーンカラーに塗色が変更された新型車、5500系に置き換えが進んでいてます。

5000系

5500系

 ジェットカーと呼ばれる青胴車の各系列の総称です。いずれもデザインは同じで、リニューアル前の京成3300形に似ています。  ニュージェットカーと呼ばれるジェットカーの後継形式で、新しい塗装を採用し数々の新機軸も盛り込んでデビューしました。