E235系1000番台はJR東日本の車両で、横須賀・総武快速線及び直通する房総各線で運用されている。山手線に投入されたE235系0番台をもとにした車両で、E217系を置き換えるために2020年から導入が開始された。E217系から見ると3世代後の車両で、目に見えない機器の部分だけでなく外観・設備の面でも大きな変化を感じさせる車両となった。
車体はステンレス製で、総合車両製作所の「sustina」シリーズの幅広車体を採用している。11両編成の基本編成・4両編成の付属編成という構成はE217系と共通だが、基本編成に2両連結されているグリーン車以外は片側4扉のロングシート車で、E217系以上に通勤型に近づいている。機器面では高いMT比やSiC素子VVVFインバータ、情報制御装置INTEROSなどE233系3000番台・E235系0番台の新機軸を引き継いでいる他、蓄電池式の非常走行用電源装置をJR東日本で初めて採用した。ただし起動加速度はE217系に合わせて低く設定されている。
先頭部のデザインは0番台をもとにしており、青とクリームの「スカ色」のグラデーションとされた。側面は0番台から大きく変更され、E217系と同じく腰板・幕板部にスカ色の帯を巻いている。普通車の内装はE217系に引き続き青・グレー系の配色で、クロスシートの設定はなくなった。グリーン車の内装はグレーと紫を組み合わせた本形式独自のデザインで、設備面でもコンセントや公衆無線LANをJR東日本の普通列車で初めて設置した。
F-04編成+??編成 千葉方より 下総中山にて 2021/05/02
前面のデザインは0番台を基本としており、遠くからでも本形式であることがひと目で分かる。E217系に続いて特徴的なデザインの車両の投入となった。
前面行先表示器
行先表示器はフルカラーLEDで、尾灯を兼ねている。E217系までと異なり種別・行先も表示でき、「横」「総」を大文字表記する伝統的な表示もなくなった。
側面
側面は0番台と異なり一般的な横帯となった。E233系と異なり側扉部まで帯が回っていない。また、ホームドア普及を見越し、幕板部の帯幅が側板部と同じ太さに広げられている。
台車
E217系には装備されなかったヨーダンパが設置されている。
側面行先表示器
側面の表示器もフルカラーLED式で、0番台と同じグラデーション表示が施されている。
元空気溜め・パンタグラフ
パンタグラフはシングルアーム式。先述した蓄電池式非常用電源装置の関係で、一部車両の元空気溜めが屋根上に設置されている(写真左の箱)
E235系1000番台導入は大きく2期に分かれており、F-13・J-13編成とF-14・J-14編成の間に1年近いブランクがあった。
コロナ禍などによる収益悪化を反映しているのか、F-14・J-14編成以降(以下、後期型)は一部の内装が簡素化している。
内装
内装はロングシートで、化粧板には白、座面にはグレーと青が使用されている。車端部はすべて優先席となっており、床面・化粧板の色で区別されている。
フリースペース
各車の優先席4箇所のうち1箇所はフリースペースとなっている。
先頭車車内
ロールバー
「sustina」の特徴として、掴み棒の一部が車体変形を抑えるロールバーとなっている。
座席
座席は7人がけのロングシートで、モケットは柄が異なるもののE217系と同じ青系とされている。
袖仕切り
袖仕切りの形状は0番台と異なり、透明な部分がなくなった代わりに縦方向に大型化された。
荷棚 2枚目:後期型
荷棚は0番台と同じく板状で、E233系よりスリットが大きい。後期型はE231系のようなパイプ型の荷棚に戻った。
デジタルサイネージ
荷棚の上と貫通扉上にはデジタルサイネージが設置されており、広告が表示される。
座席(優先席)
優先席のモケットには「優先席」と記載されている。
トイレ
増1・1・6号車には車いす対応の大型トイレが設置されている。
側扉
扉の内側にも化粧板が貼られている。E217系にはなかった半自動ドア機構が設置されている。
側扉(後期型)
後期型では、扉の両側の形状が変更され、化粧板も省略された。
車内案内表示器
鴨居部の案内表示器は21型のLCD2画面で、0番台よりも拡大された。
ドアカットステッカー
1・11号車の一部扉には、田浦駅のドアカットを知らせるステッカーが貼られている。
先頭部
先頭部はクラッシャブルゾーンがあるため直後のロングシートは4人がけとなっている。
運転台
ワンハンドルマスコンの高運転台で、速度計などはグラスコックピット化されている。
グリーン車 1枚目:5号車(サロE235形)、2枚目:4号車(サロE234形)
E217系と同じく4・5号車に2階建てグリーン車が連結されている。グリーン車の外観や構成は113系・211系の2階建グリーン車以来ほとんどへんかしていない。
2階席 車内
2階席は車体限界ギリギリまで使用している関係で丸みを帯びた天井となっている。車内の配色はE217系からは大きく変化し、高級感を感じさせるものとなった。
車端部の車内案内表示器は普通車と同じくLCD式となっているが、表示内容は異なる。
2階席 床
1階への騒音を減らすため、廊下部のみ絨毯敷きとなっている。
座席
座席は回転式のリクライニングシートで、グレーと紫のモケットが貼られている。モケットの塗り分けはこれまでのJR東日本グリーン車には無かったもの。
リクライニング
テーブル
コンセント
E235系のグリーン車にはJR東日本の普通列車用グリーン車で初めてコンセントが設置された。各座席の肘掛け先端に設置されている。
天井
天井にはSuicaリーダーが設置されている。
1階席 車内
1階席も天井が低い。E217系では1階と2階で座席のモケットが異なっていたが、E235系では同じ色の内装となっている。
1階席 床
1階席の床も廊下が絨毯敷きとなっている。廊下が座席部よりも1段低いため、注意喚起のマーカーが設置されている。
平屋席
車端部には2〜3列のみの平屋席が設置されている。グリーン車で唯一荷棚が設置されている。
平屋席 車端部
平屋席の案内装置は通路の上に設置されている。
デッキ部・側扉
扉は片開きで、普通車と異なり化粧板が貼られていない。半自動ドア機構が追加されている他、E217系よりも幅が少し広い。客室への階段を含め、デッキ部のスペースは限界まで切り詰められている。
・形式のデータ
沿革 2020/12/21:第1編成営業運転開始
編成数・両数 鎌倉車両センター(横クラ):11両15編成・4両13編成(2022/04/30現在)
・ページのデータ
取材:2019/05/02・2022/04/29・2022/08/25
公開:2022/05/01
更新:2022/09/17(後期型の説明を追加)
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