日本駅巡り紀行

江原台駅(未成)

[ 江原台駅(未成) えはらだいえき ] 千葉県佐倉市
未成駅
京成臼井駅(京成上野方面)←京成本線京成佐倉駅(成田空港方面)

江原台は千葉県佐倉市にある東京郊外の小規模なニュータウンで、1974年から1982年にかけて実施された区画整理で誕生した。江原台への公共交通はバスに限られているが、江原台の北端は京成本線に接しており、同地への新駅建設を見込んだ区画整理・用地確保がなされている。※なお、この新駅の名称は決定されていないが、当記事では「江原台駅」で統一する

江原台を含む京成臼井〜京成佐倉間は駅間距離が5.3kmあり、成田空港付近を除く京成本線では最も長い。京成側でも江原台駅建設は検討されたようだが、同時期に新駅設置に至ったユーカリが丘に比べ人口が少ないことから、現在まで計画は具体化していない。なお、付近には「鹿島川専用乗継場」という仮駅が設けられたことがあるが、京成本線改軌工事のため1959/10/18〜10/20の3日間限定で設けられた乗り換え専用の仮駅であり、直接の関係はなさそうである。

江原台駅の遺構(受け入れ準備)として、駅前広場の整備とホームの用地確保が行われている。駅前広場周辺は普通の住宅地であり、ただの「異常に幅の広い道路」として使用されている。

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 駅入口から見た駅前広場
江原台の住宅地を進んでいくと、突然このような大きな広場が現れる。形状は明らかに駅前広場のそれだが、その向こうには線路があるのみで駅はなく、未成駅の遺構であることが分かる。

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 上りホーム用地?
駅前広場の奥には、線路沿いに細長い用地が確保されている。駅前広場と合わせると、ほぼ間違いなく駅の用地として確保された敷地だと思われる。

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 駅舎が作られるはずだった付近?
駅前広場の中央付近には、ホーム用地につながる扉がある。駅ができていたらこの付近は駅出入口になっていたのだろうか。

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 駅前広場から見たホーム用地
ちょうど列車が通過している。

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 駅出入口付近から駅前の眺め(想像)
駅ができていたら、駅前広場にはバスのりば等が整備され、コンビニやファミレス程度の商業施設も進出していたと思われる。

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 線路側から見た駅前広場
広場周辺にあるのは住宅・アパート・駐車場のみ。ここにはバスのりばも商店もなく、ただ敷地の形だけが「駅前広場の予定地である」ことを主張している。

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 入口側から見た駅前広場

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 駅前広場から見た駅前通り
江原台駅予定地は江原台のメインの地域(写真中央の崖の上)よりも一段低いところにある。

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 江原台
駅前通りの突き当たりにある崖を階段で登った先には、江原台の住宅地が広がっている。

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 崖の上から見た江原台駅予定地

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 上り線側ホーム用地 1枚目:京成上野方から 2枚目:成田空港方から
先述の通り、上り線側には細長い用地が確保されており、現在は資材置き場や空き地となっている。

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 下り線側(成田空港方から)
一方、区画整理事業の区域外だった下り線側には、上り線側のような用地は確保されていない。

江原台駅がどのような構造を予定していたかについては、資料が少なく謎である(そもそも具体的な検討が進んでいたかも不明だ)。しかし、当駅付近の京成本線の各駅の構造を考えると、相対式ホーム・橋上駅舎という構造が最も無難に思われる。その場合、下り線側は駅の建設が決定してから用地を確保するつもりであり、また本記事で「駅前広場」と呼んでいる区域のうち一部は駅舎の建設用地だったと考えられる。
その傍証として、佐倉市の公開している江原台土地区画整理事業計画図(※リンクが切れていたらご自身で検索してください)には、上り線の南側にホームらしき物体が描かれている。

もちろん、下り線側に追加の用地を確保せず、上り線側の用地に線路を膨らませて島式ホームとする構造も否定できないが、同時期に建設された京成本線の島式ホーム(京成臼井・ユーカリが丘等)に比べてホーム幅が狭すぎるように見える。

ちなみに、この駅については「ホーム用地を6両分しか確保していなかったため建設計画が頓挫した」という説が流布されている。しかし、上り線側に確保された用地の長さは約190m+αあり、相対式ホームの計画だったとすれば10両分確保できる。また、駅の下り線側は田園地帯が広がっており、用地取得はおそらく容易である。以上から、用地確保が駅建設にあたってネックになったとは考えにくく、「6両編成…」というのは都市伝説に過ぎないではないと言えそうだ。

しかし、たとえ用地があるとしても江原台の人口がユーカリが丘の10分の1以下であり、今後の増加も見込めないという事実には変わりがない。この「駅前広場」が実際に駅前広場として使われる未来は、残念ながらおそらく訪れない。

京成臼井駅(京成上野方面)←京成本線京成佐倉駅(成田空港方面)

・駅のデータ
沿革 1974/02/24〜1982/03/31:江原台区画整理事業施工、広場・ホーム用地等が生み出された
駅のある地点:京成本線京成上野起点48.4km付近

・ページのデータ
取材:2020/07/12
公開:2020/07/24
更新:公開後未更新

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