日本駅巡り紀行

WSW Generation 15

Generation 15(以下15型)は2010年に開発が開始され2016年に営業を開始したヴッパータール空中鉄道の最新車両で、2019年11月以降は同線の定期列車は15型に統一されている。車両には1〜31の編成番号しか表示されておらず、正式な形式名があるのかは不明だが、公式サイトでは第1編成の落成年をとって「Generation 15」という呼称に統一されている。

車体はアルミニウム製の3連接車で、基本的な寸法や構成は先代のGTW 72(以下72型)を踏襲している。便宜的に進行方向から1〜3号車とすると1・3号車のみに2台ずつ2軸台車を備え、2号車は文字通り「宙に浮いて」いる。また、ランゲン式モノレールの特性からループ線による複線走行を行っている(※)ため車両の構成は前後・左右非対称で、1号車のみに運転台があり、3号車最後部は展望席となっている。ドアも片側のみで、1・3号車の進行方向右側に2箇所ずつの両開き戸が設けられている。

車内は基本的に進行方向に固定された2列クロスシートが進行方向左側に設置されているが、2号車には両側にロングシートが、3号車最後部には後ろ向きの展望座席が設置されている。床・モケットが赤・黄・緑のいずれか、壁・天井が白にまとめられ、座席は木製とされるなど、温かみのある内装となっている。

72型以来の新型車両であるため技術的にも進化しており、効率化・環境負荷低減を図るため三相交流モーター・回生ブレーキ等を導入し、本形式の導入とともに給電方式も直流600Vから直流750Vに引き上げた。また、設計最高速度を65km/h(営業最高速度は60km/h)に引き上げ、保安システムも欧州共通規格ETCSのETCS 2(日本のデジタルATCに近いシステム)を導入することで運転間隔の短縮も図っている。

※ループ線を使わずに複線折返し走行を行うことも実際はできるが、分岐器の転換が大掛かりなことや軌道を左右対称にできることなどからループ線による折り返しを選択していると見られる。

外観


 14号 Vöklinger Straßeにて
外観の大枠は72型から変更されていないが、塗装は青・オレンジのビビットな配色から淡いペールブルーへと変化した。先頭には単色LED行先表示器が設置され、行き先の脇にはバスの系統番号の代わりにモノレールのシンボルマークが表示されている。


 25号 Verresbecker Strßeにて
72型では全面広告をまとう車両も多かったが、15型では2号車以外はラッピングされることはなく、統一感が高い。


 18号 Vöklinger Straßeにて
左側面はドアが設置されておらず、スッキリしている。最後部は展望座席になっているため、先頭と違い大きな一枚ガラスが設置されている。


 台車
2軸台車が4つ設置され、それぞれから進行方向右側のアームで車両を吊り下げている。モーター・ブレーキ等の走行機器は台車に直接設置されているほか、先頭台車(1・2枚目参照)には信号システムの車上子と思われる機器が設置されている。

 
 車体側面(右側・左側)
進行方向右側には1・3号車に2箇所ずつ両開き戸が設置されている。左側には窓だけが設置されており、不思議な見た目。


 ロゴマーク
先頭付近には運営会社WSWと、加盟するVRR(Verkehrsverbund Rhein-Ruhr=ライン・ルール運輸連合)のロゴマークが掲出されている。

 
 連結器(先頭・最後尾)
連結器は屋根上に設置されているが、非常時の救援用にしか使用されない。ラッパ状の最後尾連結器に棒状の先頭連結器を挿入する他では見ない形態の連結器。


 集電装置
電車線は軌道の下に設置されており、台車の真下に小さな集電装置がついている。

内装


 1号車
進行方向・ドアの方向が固定されているため、進行方向を向いたクロスシートが片側に設置されている。


 2号車
2号車は真ん中の通路を挟んでロングシートが両側に設置されている。単純な2両編成ではなく3両連接車としているのは、もし2両編成としてしまうと急カーブ走行時の車内通り抜けが危険となってしまうため。


 3号車
3号車の内装は1号車とほぼ変わらない。1号車の写真と見比べて分かる通り、床とモケットのアクセントカラーは編成によって異なる(他に緑色の編成もある)。


 3号車後方から


 展望席
3号車の最後部は6人がけの展望座席となっている。


 クロスシート
座席は木製のモダンなデザインで、座面と背もたれにはモケットが張られている。進行方向が固定なこともあり、鉄道というよりバスのような形状。


 ロングシート
2号車と展望座席のロングシートは、クロスシートをそのまま横にして取っ手を外したようなデザイン。


 通路
進行方向右側が通路兼立ち席となっている。吊り手はなく、窓に手すりが設置されている。


 ドア
1,100mmの少し狭めの両開き戸。車体形状の制約から足元がカーブしている。ドアの開閉時にはドア窓部のLEDライトが点滅する。


 ドア(外から)
外吊り式となっている。


 先頭部
運転台後部は車椅子スペースとなっている。また、LCD車内案内表示器も設置されている。

 
 運転台
天気や時間帯により前面展望を楽しめるときがある。グラスコックピットで、マスコンは左手ワンハンドル式。

その他


 Sonnborner Straßeにて
下から見た離合する車両。(サイトのトップ画像に一時使用)

・車両のデータ
沿革 2015/11/14:第1編成が入線/2016/02/09:初の本線試運転/2016/12/18:営業運転開始/2019/05/26:GTW72の置き換えを完了
車両数 31ユニット

・ページのデータ
取材:2020/02/24・25
公開:2020/04/05
更新:公開後未更新

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