日本駅巡り紀行

WSW GTW 72

GTW 72(以下72型)はヴッパータール空中鉄道で2019年まで使用されていた車両で、1975年から2016年まですべての営業列車が72型に統一されていた。形式名の「GTW」は「GelenkTriebWagen」(日本語で「連接車」)の頭文字。

車体は3連接車で、基本的な寸法や構成は後のGeneration 15に引き継がれている。便宜的に進行方向から1〜3号車とすると1・3号車のみに2台ずつ2軸台車を備え、2号車は文字通り「宙に浮いて」いる。また、ランゲン式モノレールの特性から車両の構成は前後・左右非対称で、1号車のみに運転台がある。ドアも片側のみで、1・3号車の進行方向右側に2箇所ずつの両開き戸が設けられている。

公式サイトによれば72型はヨーロッパで初めてワンマン運転システムを導入した車両で、ホームの固定カメラと運転台のモニターにより安全を確保している。

1972年〜1975年にかけて28編成が導入されたが、第4編成は1999年の脱線事故で廃車となり、その後2012年〜2019年にかけて全車が廃車となった。現在は全車両が空中鉄道の元を離れ、一部の車両は保存・公開されている。ここではジンスハイム自動車・技術博物館(Auto- und Technikmuseum Sinsheim)に保存された5号を取り上げる。

外観


 5号 Sinsheimにて
編成の左後方から。青とオレンジのビビットな塗装が特徴で、「Blue Orange」という愛称もつけられていた。


 5号 Sinsheimにて
右後方から。この車両はオリジナル塗装にされて保存されているが、72型では全面広告をまとう車両が多かった。基本的な扉配置などの構成が15型に受け継がれていることが分かる。


 遠景
博物館の裏手、道路を1本挟んだところに専用の軌道を架けて静態保存されている。発見時に時間がなかったため、誰が保存主体なのか・内部に入れるのかなどは不明(物理的には階段で入れるようになっていた)。


 上から
博物館内からもよく見える。展示位置の関係で後方からしか見られないが、15型と違い前後でデザインの違いは少ない。


 車内にズーム
72型の座席配置は15型とほぼ同じで、進行方向左側に2列のクロスシートが並び、中間車体はロングシートになっていた。ただし、この写真でも分かるように最後部はただの立ち席となっていて15型のような展望席はなかったようだ。

・車両のデータ
沿革 2072:第1編成が入線、営業運転開始/1975:最終編成が入線/1999:脱線事故で1編成を滅失/2019/05/26:15型により置き換えを完了
車両数 なし(最盛期は28ユニット)

・ページのデータ
取材:2020/02/26
公開:2020/04/12
更新:公開後未更新

・このページの場所
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