日本駅巡り紀行

富山地方鉄道10030形

 

[ 10030形 ] 富山地方鉄道 

 10030形は京阪3000系(現在は8000系30番台)を改造した富山地方鉄道の車両で、普通列車を中心に地鉄の全線で運転しています。

 京阪3000系は京阪の特急専用列車として1971年から導入が始まった車両で、1973年までに58両が製造され、その後京阪のフラッグシップとして、特急専用車両として使用され続けています。しかし、1989年に後継の8000系が導入され始めたため1990年には廃車が始まりました。

 ちょうどその頃富山地方鉄道では旧型車両を中古車で置き換えることを計画していました。当初は阪急の車両を2扉転換クロスシートにする予定でしたが、改造の手間を考慮して計画が変更され、初めから2扉転換クロスシートである京阪3000系を導入することになりました。1990年から2両編成8本が導入され、車両形式は富山地方鉄道独特の付番法によって10030形という形式名になりました。

 車体長18mの2扉車で、車内は京阪時代からのオールクロスシートです。導入後いくつかの改造が行われ、塗装の変更やテレビの撤去、ワンマン運転化などが行われています。ちなみに京阪と地鉄では軌間が異なるため、台車は営団地下鉄(現在の東京メトロ)の中古品に履き替えています。

外観


 10043F 上市・立山方より 新魚津にて
ほとんど車体の改造はなされていないため外観の差はあまりありませんが、塗装が京阪時代のオレンジ+赤とは全く違う黄色+エメラルドグリーン(通称:“かぼちゃ電車”)になったため、雰囲気は大きく異なります。また、塗装以外では、種別表示器の閉塞や連結器・スカートの交換などが行われています。


内装

 
車内はほとんど京阪にいた頃のままと思われます。2扉の扉配置、並んだクロスシート、えんじ色の落ち着いた配色、カバー付きの蛍光灯など、特急列車に使っても遜色はなさそうな内装です(実際、京阪では有料ではないものの特急に使われていました)。

 
座席は車端の2脚を除いてすべて転換式クロスシートです。肘掛にもモケットが貼られていて、窓側にも肘掛用のくぼみがあるなど、凝ったつくりです。ドアの脇には補助椅子がありますが、地鉄に来てからは使用が止められています。


窓のカーテンは少し古さが出ています。

 先頭部
京阪時代には先頭にもクロスシートがありましたが、ワンマン運転に対応するためこの部分の座席はすべて撤去されました。

 運転台
運転台は貫通路の左側にまとめられたコンパクトな作りで、古いデザインです。

 ドア
片開き式の大きなドアです。ワンマン運転ですが、整理券発行機は各駅にあったため、置かれていませんでした。しかし、2012年3月17日からのICカード導入に伴い、現在はICカードリーダーと一体化したものが設置されています。

・ページのデータ
取材:2010年8月7日
公開:2012年3月15日

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