日本駅巡り紀行

スカイレールサービス200形

スカイレールで使用されている車両の見た目はゴンドラのようだが、軌道法に基づく路線を走る車両として200形という形式を与えられている。車両側に動力装置はついていないが、軌道に沿って走るための走行輪、曳索を掴むための装置(駅間用)、リアクションプレート(リニアモーターでの加減速用)、集電装置など多くの装置が台車についている。

車体はほとんど横幅と全長が変わらない。1方向に循環しているため片側(進行方向左側)にしか扉がなく、前照灯と尾灯も前後に片方ずつしかない。車内は妻面に沿って座席が設置されているという通常の鉄軌道では見られない配置で、立席部分は車椅子スペースを兼ねている。定員は25人とされているが、実際に25人も乗ったらぎゅうぎゅうになりそうだ。

短距離の路線であるため全部で7両しか用意されていない。うち1両は2019年に増備された車両で、座席の色が他と異なる。

外観

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 205 進行方向より みどり中央にて
見た目は大きめのロープウェイのゴンドラだが、あくまで索道の搬器ではなく軌道の車両という扱いである。側面は青色に波のような模様があしらわれた塗装で、妻面は鉄道車両のようなブックフェイス風に塗り分けられている。

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 207 進行方向より みどり中央(引上線)にて
207は2019年に導入された車両だが、外観は他の6両と変わらない(汚れが少なく見えるが、単に清掃のタイミングの問題かもしれない)。

 202 後方より みどり中街駅発車シーン
出発シーン。最初の加速には軌道に設けられたリニアモーターを使用し、速度が上がると軌道の上を通っている曳索を掴む。

 番号不明 みどり中央駅にて降車ホームから引上線に入るシーン
両端の引上線内の移動には曳索もリニアモーターも使用せず、軌道の両側に設置されたベルトコンベアのような装置が車両を動かす。

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 台車(駅停車中・進行方向右側より)
Iビーム形の軌道を囲むベージュ色の車輪が走行輪で、曳索を掴む装置はこの画像には写っていない。軌道に下から押し当てられているような(実際は隙間がある)三角形の部品はリアクションプレートで、線路側のリニアコイルが磁界を発生させると車両が加速する。また、この画像では見づらいが、台車の側面には集電装置がついている(2つ目の動画に写っている)。
一般的な鉄軌道と異なり、台車に対して車体がピッチングできるのもスカイレールの特徴である。それにより、車内が水平のまま急勾配を上り下りするというロープウェイのような動きができる。

車内

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 車内(初期車)
車内は広めのエレベーターくらいの広さで、車両の前後に座席がある。扉の向かい側には車椅子固定用の機器があり、立席部分の半分ほどが車椅子スペースを兼ねている。

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 車内

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 座席(進行方向後ろ)
座席は1席ごとに区画されている。両脇の座席には肘掛けがある。

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 座席(進行方向前)
進行方向前側の座席の下には消化器が設置されている。もしこんな車内で実際に火災が発生したらかなり辛そうだ。

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 天井
天井には立ち客用に吊り手とつかみ棒が設置されている。ロープウェイと異なり走行中も集電できるため、鉄道車両のように照明・空調装置・防犯カメラが取り付けられている。

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 扉
側扉は両開き式の自動扉で、戸袋のない外吊り戸。全体はロープウェイのようだが、一つ一つのパーツは鉄道に近いものが多い。

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 非常用補助装置
一般的に非常用ドアコックがありそうな場所にある装置には「非常用補助装置」としか書かれていない。

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 『SRSレポート「安全報告書」(2022年)』より
本線避難訓練の画像によれば、車両側にシューターのようなものがあるわけではなく、非常時には外部から救助員が乗り込んで車内の人を避難させるようだ。
なお、安全報告書はみどり口駅に掲出されている(webサイトがないため、他に閲覧手段がない)。

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 側窓周辺
側窓の左側には簡単だが車両の諸元が掲示されている。無人運転のため、非常用のインターホンも設置されている。

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 製造銘板
側面にも妻面にもほとんどスペースがないためか、製造者である三菱重工の銘板は天井に取り付けられている。

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 207車内
2019年増備の207ではモケットの色がみどりではなく紺色となっている(ただし、206までの車両でもモケットが紺色に交換された車両がある模様)。

・形式のデータ
沿革 1998/08/28:営業運転開始
編成数・両数(2023年8月現在) 7両

・ページのデータ
取材:2023/07/14
公開:2023/09/02
更新:公開後未更新

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