日本駅巡り紀行

取材:2010年8月4日・5日
公開:2011年7月25日
更新:公開後未更新

1000系

 [ 1000系「ゆけむり」 ] 長野電鉄(長野線用)

 小田急ロマンスカーといえば日本の民鉄特急を代表するといっても過言ではないほど有名な特急形電車ですが、2006年、そのうちの1つ、10000形HiSEが小田急電鉄から長野電鉄へとやってきました。車両形式は1000系となり車両の長さも元の11両から4両に減らされていますが、連接式の車体の構造や先頭車の展望席は変わっておらず、「ゆけむり」の愛称で現在は長野を代表する特急列車になっています。

 外観・内装ともに小田急にいた時代とあまり変わっておらず、長野電鉄では全席自由席のため先頭の展望席にも100円の特急券で乗ることができます。2011年2月12日までは昼間のみのA特急に2編成両方が使用されていましたが、2100系「スノーモンキー」の導入により2月13日からは朝から夜までに運行される時間が増えた代わりに毎日1編成のみが使用されるようになりました。因みに、小田急電鉄に4編成いた10000系の中で長野にやってきたのは2編成のみで、残りの2編成は長野電鉄に2編成が譲渡されてからも小田急で活躍し続けました。(うち1編成はすでに廃車)

外観

  どちらも信濃竹原にて
外観は編成が短くされた他は小田急線にいた頃とほとんど変わっていません(ただし、塗装が少しだけ変わっているそうです)。小田急の車両と日比谷線の車両が並んでいるというのも不思議な感じです。


この形式の最大の特徴は運転席が2階にある先頭の構造で、そのため1階は展望席になっています。また、先頭が流線形になっているのは室内灯が反射して展望が悪くなるのを防ぐためだそうです。


種別の表示は「特急」と何ともそっけない感じになっています。


内装-普通車自由席

  左:3号車 右:4号車
車内は小田急電鉄にいた時代とほとんど変わっておらず、カーペット敷きの室内に青いロマンスシートが整然と並んでいます。

 
座席は小田急HiSEの時代から変わっておらず、リクライニング機構は備えていませんが前の座席の下には足を置くためのフットレストバーというものもあります。
車両自体が1988〜1989年製なので座席のデザインに少し古さはありますが、小田急ロマンスカーにたった100円の特急料金で乗れるというのは少し申し訳ない気持ちさえもします。
因みに、私の乗ったS2編成ではテーブルが前の座席の背面についているものと窓側に折りたたまれているものの2種類ありますが、もう1つのS1編成では座席の背面にテーブルはついていないそうです。


車内-普通車自由席(展望席)

 
眺望を重視して高いところにある他の席と対称的に1段低いところにあるのが展望席です。4席×3または4列あり、進行方向右側の4列目は運転席への梯子があるため座席はありません。
この写真では分かりづらいですが、展望がよくなるように先頭から後ろに向かって少しずつ床の傾斜があります。


小田急時代から鉄道ファンや子供たちに注目されていた座席だけあり、他の座席よりも目立つ赤色モケットの座席が互い違いに配置されています。ちなみに2、3列目は座席が回転するそうですが、わざわざ最後尾の展望席に座ったり展望席をボックスシート風にする人もいないので、あまり需要はなさそうな気がします。

 
展望席というだけあり、先頭からは綺麗な展望が楽しめます。特に信州中野から北側は山が迫っているうえに勾配がきついのでかなりいい眺めです。


デッキなど


先頭のドアの脇には補助席がついていますが、ドア付近のわずかなスペースを車椅子スペースとし、この補助席は介助者用の座席とされたたため、現在は使用できません。ドアは民鉄の電車では珍しい折り戸です。

 
車両間の自動ドアは全面が茶色いガラスになっていて、2・3号車の間は自動ドアが2つ続く形になっているので、その2つが連動して動くようになっています。


先頭には車掌室がないため、先頭車と中間車の間のデッキに車掌室は設けられています。

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